さて、ここ数ヶ月携わってきた案件がやっと終わりました。

当初、単純な

既存の担保権抹消→所有権移転→新規担保権設定

という話で聞いていたのですが、この売買対象物件が「財団」に帰属していたのが原因です。

 

「財団」というと「財団法人」を思い浮かべる方も多いと思いますが、今回の財団はあくまで財産の集合体、という意味で、法人格はありません。

比較的に多いのが工場財団ですね。工場の土地建物は勿論、その内部にある機械等一式をもって財団を構成し、それに担保権を設定する、という仕組みです。

今回はそれの別バージョンです(とは言え、法律的には工場財団の規定の多くを援用しています)。

 

で、何が問題かというと、財団の組成物件は登記を動かすことができない、ということなのです。

なので、まずは今回の売買物件を財団から離脱させる手続きが必要になります。

その後、通常の売買と同じように所有権移転等を行うことになります。

さらに悩ましいことに、今回はこの財団登記の法務局と、その組成物件の不動産登記の法務局が別管轄という・・・。

 

ということで、売買の関係当事者は勿論、二つの法務局とも綿密に打ち合わせを行い、手続きを進める必要がありました。事前打ち合わせの結果、下記の流れになりました。

売買当日にA法務局にて財団から分離する旨の登記を申請。

→A法務局にて上記登記が完了。さらにA法務局から不動産を管轄するB法務局にその旨の通知がなされる。

→B法務局に通知が到達。財団に属している旨の登記の抹消登記の手続きがなされる。

→B法務局にて上記登記が完了。これで晴れて不動産について登記を申請することができることに。

→B法務局に所有権移転登記、担保権抹消登記を申請。

→B法務局にて上記登記が完了。

 

今回の最大の問題は、売買当日に、売買による所有権移転登記を申請することができないことですが、こればかりはどうしようもない。当事者に納得していただくしかありません。

実際、この登記が完了したのは売買の日から2週間後になりました。オマタセイタシマシタ・・・。

 

さて、この財団登記、受験時代には知識としては知っていたのですが、実務上お目にかかるのはそう多くありません。

司法書士としては10年に1回あるかないか、というレベルでしょう。

これは法務局も同じのようで、お互いに手探りしながら、事前打ち合わせを綿密に行った上でなんとか処理できました。

 

今回の内容、マニアックすぎて一般の方はなんのこっちゃ、という感じでしょうから、最後に今回のめんどくささを端的にあらわす写真をアップ

img_0036

財団登記の登記簿謄本です。

これ出してもらうだけで3日かかりました・・・。