さて、成年後見人を始めましたとアナウンスを行いましたが、先日成年被後見人がお亡くなりになられました。
最後にお会いできるタイミングで、施設内インフルエンザ流行中のため面会できなかったのが心残りです。
もともと身寄りのない、市長申立の案件だったため、お亡くなりになった後の処理にバタバタと過ごしていました。
というか、まだ終わっていないというのが現状です。
成年後見人という立場は被成年後見人の死亡により終了しますので、言葉は悪いのですがお亡くなりになった後は「赤の他人」です。
が、特に身寄りのない方については、「じゃあさよなら」、というわけにもいきませんので、(元)成年後見人が事実上死後の事務(葬儀や火葬、その他諸々・・・)を執り行わなければ立ち行かない、というのが実情。
法的根拠としては民法654条の応急処分義務になりますが、あくまで急迫性がある事務に限られます。
この点、先日成立した成年後見促進法にて、下記のとおり民法が改正されることとなります。
施行は10月の予定のようです。
(成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限)
第873条の2 成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
一 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
二 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済
三 その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前二号に掲げる行為を除く。)
今回、実際に自分で死後事務を行って思うところは、
①火葬等の契約に裁判所の許可が必要というのはスピードに欠けるのでは?
許可は即日に出してくれるのでしょうか?
ちなみに、ご遺体を1日葬祭施設に安置していただくと2万円ほどかかりますので、許可までの日数が延びれば延びるほどその負担は増えてしまいます。
②火葬等には儀式としての葬儀は含まれないのはいかがなものか?
火葬にかかる費用はそれほど大きくなく、むしろ葬儀にかかる葬祭施設の費用のほうが大きいのですが。
③1号(特定の財産の保存に必要な行為)と3号(その他相続財産の保存に必要な行為の行為)は何が違うのでしょう?
どちらに属するかによって裁判所の許可の要否が変わってしまうので結構重要な点だと思います。
あたりでしょうか。
なお、私も所属しているリーガルサポートも理事長声明を出しております。
是非とも成年後見人の利用しやすい制度にしていただき、本人の最期を穏やかな気持ちで見送らせていただきたいものです。